›February 27, 2011
雪崩について分かりやすくまとめてみた(初心者向け)
はじめに
先日の2月24日に苗場スキー場コース内(男子リーゼンコース)で雪崩が発生しました。(写真)ゴト特派員さんのブログから
全層雪崩です。Twitterでも話題になっていましたので、あらためて雪崩の怖さを感じた人も多かったのではないでしょうか。
私が雪崩について興味を持ったのは確か1997年頃。雪山の知識を身につけたいと思い、「最新雪崩学入門」という本を買って雪崩の勉強をしたのが最初でした。(なかなか深くまで身についていないですが^^;)
そのあとバックカントリーに行くことが多くなり、実際に雪崩に遭遇したこともありましたが、今日までいろいろ学ばせていただいてきました。
そこで、雪崩ってどんなものなんだろう?という人向けに少しまとめてみました。(初級者向けなので、結構細かいとこ省略してます)
雪崩の種類
大きく分けて2つあります。1.表層雪崩
・雪の層の上に新しく積もった雪が滑り落ちる
・真冬に多い、っていうか真冬はほとんどこれ
・降雪の最中もしくは、直後に多く発生
・スピード速い、時速100km〜200km
・雪崩が止まるまでの範囲が長い
・予期しづらい。
2.全層雪崩
・地面を残して積もってる雪が全部滑り落ちる
・春先に多い
・急に暖かくなったりした場合に発生しやすい
・スピード遅い、時速40km〜80km
・雪が重いため、破壊力が大きいが、表層に比べれば届く範囲は短い
・(表層に比べて)予期しやすい
上記のように同じ雪崩でも全く異なる性質をもっています。
「雪崩がおきやすくなっている」といわれた場合、どちらをさしているか認識したほうがいいでしょう。
アバランチハザードトライアングル
雪崩のリスクは雪の状態だけで決まるものではありません(一部分の雪の状態だけを見て語られることが多い気がします。)
アバランチハザードトライアングルとよばれる、3つの要素、「地形」「雪の安定性」「人」、これらの3つの要素を複合的にみなくてはいけません。
(1)地形(Terrain)
雪崩リスクのある地形。
例えば
沢…雪崩の走路となる。
雪庇…雪崩の発生点となる。
斜度…35〜45度が雪崩が多く起こるといわれている。
樹林帯の一部に木のない斜面があるところ…過去大規模な雪崩がおきた可能性がある。
雪崩地形の見極めは非常に重要です。極端な話、平らな田んぼのど真ん中では雪崩は起きません。
ただし、今いる場所が平らでも、斜面が近くにある場合は雪崩到達地点がどこまでかを判断する必要があります。
(2)雪の安定性(Snow Stability)
世間一般に言われる、「雪崩がおきやすくなっている」、というのはこの要素を指します。
積雪の不安定性は、気温、風、降雪・降雨などの気象条件の変化によってもたらされます。
分かりやすくざっくり言うと、
・大量に降雪がある最中、もしくは直後
・雨や急な気温上昇が続いたとき
に積雪が不安定となります。
(もちろんこれだけではありません。また、弱層などの説明はここでは割愛します)
前者は表層雪崩のリスク、後者は全層雪崩のリスクが高まります。
これらを見極めるために、フィールドテストを行い、雪の状態を調べるのです。
(3)人(People)
ヒューマン・ファクター(人的要因)
自然の状態が同じであったとしても、人の判断や選択でリスクは変動します。
また、人的要因で発生する雪崩はその行動の仕方、滑り方でリスクを低減できます。
例えば、斜面に対して横にトラバースする(スキーカット)行為は、雪崩の発生率を高めます。
複数で同時に滑れば、それだけ雪面に対して外的要因が強まることになり、雪崩の発生率を高めることになります。
まとめ
・厳冬期は表層雪崩、春先は全層雪崩が起きやすい。・大量に降雪がある最中、もしくは直後は表層雪崩、雨や急な気温上昇が続いたときは全層雪崩に気をつけて。
・雪崩リスクは、積雪の状態、地形、人の要因を考える。
なるべく分かりやすいように簡単に書いただけなので、興味を持ったら専門書等で詳しくみてくださいね。