›November 28, 2013

2013.11.23-24 立山の雪崩

Category: シーズンログ 2013-2014 / 0 Comments: Post / View

まずは今回の雪崩によりお亡くなりになられた7名の方のご冥福をお祈り致します。
報道で名前を確認し、知り合いの方が含まれていることに非常に驚き、絶句しました。
私も参加させていただいているグループの一員の方で、とても経験豊富な方でした。
一度だけBCツアーにご一緒させていただいたことがありました。本当に本当に残念でなりません。。。。

情報によると雪崩は10時55分に発生とのこと。
その頃出発の準備をすべくみくりが池温泉の宿にいましたが、11時過ぎにすぐに宿の方から情報を確認しました。
(雪崩の一報をツイートしたのが11時10分なので、聞いたのはそのちょっと前くらいか)
巻き込まれた人がいるようだとの話でした。

宿を出て、大走り方面を確認すると、破断面もデブリまでの距離も相当な大きさで非常に驚いたのを覚えております。
(実際にはsize3の規模とのこと)
このクラスの雪崩を間近で見るのは初めてでした。
#雪崩の詳細についてはJANのレポートをご覧ください。

破断面もくっきり。。

間もなく救助のヘリと、報道関係のヘリが飛んで来ました。
このときはテン場付近で心肺停止の方が数名いるという情報を聞いており、なんとか助かってほしいと祈る気持ちでした。

ただ、驚いたのはこのような大きな雪崩事故があったにもかかわらず、すぐとなりの雷鳥沢など近くの同じ向きの沢を滑っている人が大勢いたこと。
あれを見てもなお近くの同様の地形斜面に行くという選択が私には理解できません・・。
結果的に夕方近くになり、雷鳥沢や山崎カール付近で雪崩が発生しました。

雷鳥沢付近の雪崩

山崎カール付近での雪崩。

こちらは右下に見える人がいるところ手前まで雪崩が迫ったらしい。
雪煙の上がる瞬間を目撃しました。こちらの写真はその直後に撮った写真。

これ以外にも浄土や雄山の裏などいくつかの場所で雪崩が頻発していたようです。

翌24日も雪崩がありました。前日雪崩れた大走りの付近です。

この日(24日)は真砂岳周辺の斜面を含め、広いエリアに入山規制が出されていて、室堂周辺で滑ってくださいと言われておりました。ですが、その昨日雪崩れた大走りの近辺を登っていた人がいたようです。全く何を考えているんでしょうか..。
こういった無謀な行為をする方が増えることで、真面目にやっている人も一緒に批判されてしまうのはとても残念です。

ただ一方で、あの雪崩を見る前の土曜日朝イチの状況ではちゃんと判断できただろうか、そんな思いもあります。


(1)大走りでの雪崩が起きる前
例えば私が前日入りして朝イチフィールドに出ていたらどうだっただろうか?
大走りの沢はいかなかったと思うが、雷鳥沢付近や山崎カールは行ったかもしれない。
事故に合う可能性だって少なからずあったと思う。

山岳ガイドの廣田勇介さんのブログでは、
「雪崩ネットによる調査でわかった今回の雪崩の引き起こしたと思われる原因は、事故前日まで続いた荒天によってもたらされた雪によるものではありませでしたし、あられでもシモザラメでもありませんでした。弱層と滑り面はそれよりもっと以前(15日以前。形成日に関しては検討中)に形成されたと思われるもの」
「プロでも正確に認知していたか疑わしい今回の不安定性の認知を、週末戦士の方々に求めるのは酷な事だと思いませんか?」

と書かれていました。
たしかに予測が非常に難しい雪崩。
ただ、今回の大惨事は沢地形で起こっており、やはりリスクが高い状況下ではボトム部分も含めて沢地形を極力避けるようにしたいものだと感じました。
最悪の事故を回避するために、「雪の状態」だけでなく、「地形」、「人(行動)」など、いわゆるアバランチ・ハザード・トライアングルの基本に立ち返り、リスクを減らす行動が必要だと痛感しました。
基本だけに当たり前のことなのですが、あのドピーカンパウダーの斜面を前にして、また多くの人が我先に飛び込む状況下で、きちんとそれが出来ていたかは自問しなければいけませんね。。

また、様々なレベルの人で混雑する立山では、「人」のリスク(実際言葉の通じない外国人が危ない行動をしていたという話もある)も高く、想定外・常識はずれの行動を取る人がいる可能性も考えなければいけないのでしょうね。


(2)大走りでの雪崩発生後
レベル3のあの雪崩を見てなお、すぐ近くの同様の地形斜面(沢斜面)を滑るというのは、ありえないのではないでしょうか?
あれだけの規模の雪崩が起こった以上、近くの斜面では当然起こりうるものとして行動すべきかと感じました。
従って近辺には当然近づかない。
他の斜面でももちろん起こる可能性は高いので、十分に注意し、リスクを下げるルートや行動、判断をする必要があると思いました。

私たちは雪崩が起きた周辺のエリアは避け、
・斜度の比較的ゆるい
・距離の短い(ボトムまで200mちょっとほど。雪崩のあったところの1/4ほど)
・沢地形では無い
・別の向きの斜面
を選び、リスクを下げたところで滑りました。
(もちろん斜面である以上絶対はありませんが、起こりうる雪崩の規模を小さく見積もることができ、リスクを下げることができます)


起きていないものを予想するのはプロでも難しい。一方で起きた事実の後からは想像しやすい。
ただ、難しいからと言ってそれを放棄してはいけない。可能な限りリスクを減らす努力をしなければならない。

明日はわが身かもしれません。過信することなく、今回見聞きした出来事すべてを糧として今後にいかしていきたいと臍を固めた立山ツアーでした。


Rider:Masaru, Photo:Ryo


夕焼け時の雲海はとてもきれいでした。


しかし、気持ち的には物悲しさを感じずにはいられませんでした。


日が沈み、群青色の空と静寂が悲しみをより深く・・・。


立山の美しさと厳しさを痛いほど実感した1日でした。


また春の立山で会いましょう。皆さん事故の無いシーズンを。


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